町外れの教会には、若い黒髪の神父が一人暮らしていた。
仏頂面で愛想は悪いが精練潔白な神父の評判は町では高く、人々から非常に信頼されていた。
だがそこに、ある日、一人の少年がやってきた。
年のころは10代後半、色白かつ小柄で、線の細い男の子だった。
茶色の髪に青色の瞳。何処の誰とも知れないが、おそらく孤児なのだろう。神父の元でよく働き、神にもよく仕えていた。
「まるで天使のようだ」と誰かが言っていた。
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ある雨の降る夜中の事だった。
少年は神父を聖像の前に呼び出してこう質問をした。
「神父様は、神様って本当に居ると思う?」
少年の質問に、神父は普段のしかめっ面をますますしかめた。
「……そう信じる者には、存在している事になる、だろう」
「一般論を聞いてるんじゃないよ。神父様がどう思っているのか聞きたいんだけど」
雨の音が屋根を打っている。止む気配はない。
「無論信じている」
神父は躊躇いもなくそう言い放った。
「じゃあ、神様が存在してるって信じるのなら、悪魔の存在も認めるって事だよね」
「……?」
少年の微笑みに、神父は何か違和感を覚えた。
蝋燭に照らされた少年の影の背中に、何かが突然生えた。
「……!!」
禍々しい蝙蝠のような尖った羽だ。
反射的に少年から身を引こうとしたが、手足は動かなかった。何か紐のような物体が両手両足に巻きついている。その物体によって体が宙に浮かされた。
「ずっと君のこと見てたよ。その気高く潔白な心といい最高だよ神父様。近くで見ててますますそう思った。是非とも僕のものにしたい」
「何を……!」
神父は少年を睨みつけた。いったい何だと言うのか。
「ああ、自己紹介が遅れたね。僕は悪魔」
「……!!!」
「君を堕としにきたんだ、神父様」
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自分を悪魔だと言った少年は、愛らしい顔で神父を覗き込みながらこう言った。
「抵抗しちゃ駄目だよ。もっとも、僕の使い魔で縛られてるから無理だろうけど」
「く……お前……!!」
神父の身体を縛り上げているのは使い魔らしい。肉色の触手を神父の全身に巻きつけている。両手は頭の上で一つにまとめられ、抵抗できないようにされている。服の上から巻きついているものものあれば、裾から中に入り込んで身体に直接触れているものもある。表面がぬめぬめと体液でしめっていてたまらなく不快だった。
「離せ……!」
「嫌だよ。これから君を可愛がってあげるんだから」
悪魔がそう言って神父の顎を手にとると、触手が一本、神父の口の中に入り込んできた。
「うん……っ」
「この子の体液は依存性のある強力な媚薬でね。君みたいな相手を精神的に堕とすにはもってこいだよ」
「な……むぐ……」
口の中に入っている触手の先端から液体が発射され、いけないと思いながらも飲み込んでしまった。蜂蜜のような甘い味だった。
「はぁ……あぁっ……」
鼓動が急に早くなって眩暈がする。下半身が妙に熱をもって疼きだす。
「たくさん飲ませてやってよ、ほら……」
触手の体液がどんどん口の中に溢れこんでくる。飲みきれなくて口から溢れた液体は、唇の端から零れて落ちた。
服の内部に入った触手の冷たさが妙に生々しく感じられた。首筋から降りて胸とわき腹を撫でる。下から入り込んでいたものは内腿を這いずっていた。
生き物なのかなんなのかよく解らないその物体はぬめりながら神父の身体を這いまわって、やがて性感帯に達した。
「……あっ!」
性器にただ触れられただけで信じられないぐらい甘い声が自分の口から漏れた。触手はゆるゆると神父のものに巻きついて、それを上下に擦った。
「い、いや……ひぃあ……」
ゆるやかな愛撫であるのに、信じられないぐらい身体は敏感に反応を返した。
「気持ちいいでしょ? ここ、大きくなってるし」
悪魔が優しく問う。
「脱がせてあげるよ、服」
「んっ……」
拒むように身体を捻るが、触手のせいで動く事は出来なかった。さらに口内に体液を注ぎ込まれ意識が朦朧となったところでズボンを下着ごと下げさせられた。剥き出しになった股間にますます多くの触手が絡みついてくる。宙に浮いた足はさらに持ち上げられ膝を折り曲げて股間を開くような格好になった。
「ひ……!!」
敏感な場所を何本もの触手が蠢いている。媚薬代わりの体液によって高められた身体はその刺激を簡単に快楽として取り込んでいた。
「顔、真っ赤になってる。可愛い」
悪魔は神父の痴態をただひたすら、正面から見ていた。自分で手を出す事はしなかった。使い魔に嬲らせて自分はただ外から見ているだけのつもりのようだった。
忌むべき存在にこのような姿を見られているという羞恥に、くっと首を下げた。
だが、その顔もすぐに別の触手によって前を向かされた。
「駄目だよ。目を背けちゃ……ね……」
「う……!!」
男根を絞るように擦られて、ぐっと目をつぶった。だが、耳まで塞ぐ事は出来ない。ぐちゃぐちゃと触手が自分の全身を犯している音が耳に入ってくる。その音を聞き続けているだけで気が狂いそうだった。
穴の外側を嬲っていた触手のうちの一本が、急に先端を肉の穴に埋め込ませた。
「んんっ……!」
内部にずぶずぶと、触手がめり込まれていく。触手自体がその体液でどろどろに濡れているので痛みは少ない。だが、圧迫感に堪らず声を上げた。
「くあぁ……!」
直腸にまで侵入した触手は内部で体液を吐き出した。はっきりとその感触が感じられた。
中に液体がごぷりと溢れ、その一部がアナルから垂れる。
触手はなおもくねりながら身体の奥へと侵入を続けた。内側から肉壁を突かれるたび、のどの奥からくもぐった悲鳴が漏れた。
「このまま、この子に内側から君の身体を食べさせても面白そうだね」
「そ……んな……っん!!」
身体の奥深くに急に痛みを感じて、神父は顔色を変えた。
「君のおなかを食い破って、ひょっこりと顔を出すんだ。面白そうだと思わない?」
「や……やめろ……」
内側から身体を食われる恐怖に全身が震えた。悪魔の言葉に答えるように、自分の内部で触手はうぞうぞと激しく蠢いている。
一気に青くなった神父を、嘲るように悪魔は見下ろしていた。
「やっぱり死ぬのは恐い? 悪魔に犯されるよりも?」
「く……」
神に仕える身でありながら死を恐れた事を、馬鹿にされているのだと感じた。
「本当は君、神様なんか信じてないでしょう? だから死ぬのが恐いんだ?」
「そんなはず……!!」
悪魔は神父の反論を聞かずに、にこりと微笑んだ。
「大丈夫だよ、冗談だから。この子はそんな荒っぽい子じゃないからね。君を気持ちよくしてあげるために用意したんだ。……でも、食われるのがお好みならそういう子もいるけど」
その言葉に、神父は少し、安心したように息をついた。
だが、次の言葉で再び奈落へと叩き落された。
「どの道、このままこの子と遊んでたら色情狂の廃人になっちゃうだろうけどね。そうなったら死んだも同じだ。……いや、神父様にとっては、死ぬよりも、辛いかもね」
自分の中で蠢く触手が、自分の存在をアピールするように激しく先端を振り体液を直腸内に撒き散らした。再び全身がかあっと熱くなる。張り詰めた前は根元をぎゅっと触手で締め付けられている。
「くぅ……」
「……僕のお願い、聞いてくれたら助けてあげるよ」
「馬鹿な……」
そんなもの、聞けるはずが無い。だが、否定する前に口の中に再び触手が入り込んできた。
「僕のものになって」
悪魔は神父の頬に手を伸ばし、うっとりとその瞳を見つめた。
「僕だけを見て」
「うぅ……んっッ!!」
二本目の触手が下から中に入り込んできた。身体の中で二本の触手が一層激しく蠢めく。内臓を内側からかき回されるようだった。
口の中にも入り込んでいる異物のせいで大きな声は上げられなかった。だが意思に反して腰が揺れた。
それだけで、自分が感じている様子は相手にも伝わっただろう。
「気持ちいいでしょう?」
悪魔は口元に手を当てて無邪気に笑った。
「ち、が……むぅ……」
必死で言葉を紡ぐが、反論を封じるように触手がさらに口の奥へと入り込んできた。
喉の奥深くまで入り込まれて、先端から体液を注ぎ込まれる。
「ああ、もう喋らなくていいよ。体のほうが正直みたいだしね……」
「んん……ッ!!」
蜜のような甘い体液を上下の口から注がれるたび意識が酩酊した。
二本の触手が交互に狭い入り口を出入りしている。肉の壁を擦り上げられ奥まで突き上げられる。
性器に巻きついて射精を抑えていたものが、不意に緩まって、ゆっくりとそれを上下に扱いた。
「んん……うぅん……んッツ!!」
急激に押し寄せてくる解放の快楽に、神父は簡単に意識を失った。
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まだ膨張したままのペニスの根元をぐっと掴まれて、その痛みで意識が少しはっきりとした。
目の前では悪魔がまだ微笑んでいた。
「よかった、まだ正気みたいそうだね」
口の中の触手は既に無かった。だから思う存分声が出せた。頭に靄がかかったようになっているのは例の体液のせいだろうか。
「お前……!!」
「いいね、その目。まだそんな反抗的な目が出来るんだ」
「……こんな……ッ!?」
目を見開いたのは、再び肉壁を二本の触手にいきなり貫かれたからだった。ごぷごぷと体液を撒き散らしながら内部を這いずり回られる。
「や……ひっ……」
今は前もどこも触られていない。ただ、後ろの穴だけを集中的に突かれている。何度か内部のよいところを刺激され、それだけで膨張していたペニスは簡単に弾けた。
自分の手に白い液体を撒き散らす神父を、悪魔は満足げにながめていた。
両足を持ち上げて開かせていた触手が神父の腰をさらに上にあげて、悪魔の眼前に全てを曝け出させた。まだ先端から残滓を溢れさせている前も、はしたなく緩まって触手を簡単に飲み込んでいる穴も、その全てを。
あまりの羞恥に、神父は顔を背けた。唇をぐっと噛み締める。
「もう二本じゃ物足りないでしょ? もう何本か入れてみようか」
「あ……」
悪魔がそういうと、内部の触手は道を開けるように入り口を左右に割り開いた。ゆるく開いた内壁は充血しきった肉色をしていた。先ほど注ぎ込まれた使い魔の体液が中からどろりと溢れ出してきた。
「ぐちゃぐちゃになってるねえ……何本いけるかな?」
「ひ……ああああぁ!!」
押し開いてる隙間から、別の触手が二本、一気に押し入ってきた。無理やりだった。ぎりぎりまで入り口を開かれて、先を争うように再奥まで伸びてくる。開けきった穴の痛みに声を抑える事も忘れて叫んだ。
「いた……やぁ……あッ、ああぁァッ!!」
四本の触手がタイミングを合わせて同時に一本の棒のように動く。中を一気に駆け上がってたかと思うとまた半分以上出ていく。触手が出入りするたびにぐちゅりぐちゅりといやらしい音が響く。それを何度も繰り返されてひたすら無我夢中で喘いだ。
「……い……あ、アアぁ!! あああっ!!」
限界まで開いた入り口は痛みが麻痺して痺れるような疼きしかもたらさなかった。
何時の間にか再び前も精液を溢れさせていたが、それにも気付かず、ただ与えられる快感に喘ぐことしか出来なかった。
四本の触手がばらばらに動いて内臓のいろんな所を突くたび、全身を大きく踊るように震えさせた。触手が動きを止めると、自分から快楽を求めて腰を上下させる事もあった。
その様子を、悪魔は優しく微笑んで見つめていた。
「あ……」
内臓を激しく犯していた触手が抜かれていく刺激だけでも、神父は腰を揺らしていた。
「随分気に入ったみたいだね。僕の使い魔」
「そんな……ちがう……」
反論しても無駄だとわかっていた。まだ弛緩したままのアナルは大きく開いたまま、ひくひくと震えているのに気付いていたからだ。まるで中に収まったままでいて欲しいと懇願するように。
「次は僕の試してみようか? ああでも、四本も入ったんじゃ物足りないかもね……」
悪魔は開ききった入り口を伸ばした爪で弾いた。
「! も、もう……」
「もう? 何? 止めて欲しいの? それとも入れて欲しいの?」
「やめ……」
「ああやっぱり嘘ばっかり。こんなに緩くなってるのに」
「!!」
悪魔は四本の指を一度に神父の内部に突き刺した。体液で十二分に濡れぼそっていたそこは簡単に悪魔の指を受け入れた。
「すご……ぎゅうぎゅう吸い込まれるみたいだ。欲しかったんでしょう? 駄目だよ、神父が嘘ついちゃ。地獄に落ちちゃうよ」
「ひ……く……」
「このまま、腕まで飲み込めそうだね……」
悪魔はそう言いながら、親指の先まで内部に入れた。
そのまま、一気に力をいれて手首まで押し込んだ。
「……ん……あ! ああっっ!!!」
太い部分を飲み込んだときに、神父の全身が痙攣した。
だが慣らされていた身体はそれだけの衝撃で、悪魔の腕を深く飲み込んだ。
「ああ、やっぱり簡単に入っちゃったよ」
爪で内壁を引っかかれるたび、喉から高い悲鳴が上がった。
「ああっ……ひぁっ……!!!」
身体の中で悪魔は無理やり手を広げて拳をぐっと握り締めた。そのままぐりぐりと中で捻られる。
拳を前立腺のところにあてて、中から刺激されると、全身が激しく跳ね上がった。
「あァん!!」
高い声をあげて簡単に白濁した液を撒き散らす。悪魔は射精が終わって神父の全身の力が抜けたその瞬間に、なおも腕を深くまで押し込んだ。
「あ……っ!!!!」
神父の顎が高く仰け反る。
「熱いね、身体の中って……」
「ああああ……っ」
軽く上下に動かして、その感触を確かめているようだった。媚薬で濡れていたおかげで腕の動きはスムーズだった。
大きく胸を仰け反らせて、うっすらと開いた神父の視界の中に、十字架に貼り付けにされた救世主の像が見えた。
「かみ……よ」
小さく神父が呟いたその言葉を、悪魔は聞き逃さなかった。
不快そうに顔を歪める。
急に腕が一気に抜かれた。
そう思った瞬間、今度は拳のまま一気に貫かれた。
「ひぁ……!!!」
痛みなのか何か解らない感覚で叫ぶ。
生理的な涙で視界がぼやけて聖像は視界に入らなくなった。
「……これでも、神を信じるというの? 神父様?」
「く……ぅ」
「……神は救わないよ。君を」
「ひああっ……はぁ……っ!」
腕が何度も出し入れされる。抜かれた瞬間にまた奥まで押し込まれる。その繰り返しにたまらず悲鳴を上げた。
「……やめ……も……こんなっ……アぁっ!!」
拳が内部を突く度に意識が飛んだ。
「君がこんなに酷い事されてるのに、救いもしないんだよ」
すでに何回も達かされた後だと言うのに、何時の間にか後ろへの刺激だけで触られずとも前は硬く屹立していた。前立腺を擦り上げられるたびにびくびくと頭を振って液体を溢れさせている。
そんな自分の身体の状態を意識する余裕など、神父にはすでに無くなっていたのだが。
「やぁ……あ……うッ……!!」
自分から足を開き腰を揺らしながら、悪魔の右腕を深いところまで飲み込んだ。
悪魔もそれに応じるように、一際強く、腕を押し込んだ。
その刺激に全身が震えた。限界まで膨張していたペニスが身を震わせる。
顎を突き上げて天を仰いだ。
「う……あ、ああああッ……!!」
悲鳴ともよがり声ともとれない高い声を上げて、神父は射精に達した。
先端から溢れる白い精液が、黒い神父服の腹の部分にぼたぼたと散った。
締め付けられる腕の感覚を楽しみながら、悪魔はゆっくりと肛門から右手を抜いていった。
「ああ……あ……」
腸内の粘膜を引きずりながら腕が抜かれていくその刺激だけで、鈴口からはまだ内部に残っていた精液が流れ出した。
握られたままの拳まで出て行っても、その穴は名残惜しそうに入り口を開けたままだった。
「……神は、誰も救いやしないよ」
そう呟いた悪魔の声を最後に、神父は意識を失った。
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次に気がついたときには、教会の床に転がされていた。
反射的に起き上がろうとしたが全身が痛くて動けなかった。
何故こんな事になったのか、考えているうちに、次第に記憶がはっきりとしてきた。悪魔が化け物を使って我が身を陵辱したのだ。禁じられた穴を用いて。
全身が訳の解らない感情で震えた。
「おはよう、神父様」
優しい声が頭上から降りかかってくた。必死に首を動かして声の主を確認した。
「どう? お目覚めの気分は」
朝日をバックに、透き通った鈴のような声を持つ天使と見間違うような笑みの持ち主が視界に入った。
天使に似た少年は、白い剥き出しの右手を自分に差し伸べていた。
あまりにその笑みが優しかったので、神父はその手に向かって自分の左手を伸ばした。
救いを求めて。
だが、そこで昨日の記憶がフラッシュバックした。
「――!!!」
力を込めて、少年の右手を払いのけた。
ようやく思い出した。
この綺麗な少年こそが、自分を犯した悪魔なのだ。
少年の顔から笑みが消える。
「まだ僕を拒むの? 昨日の晩、あれだけ虐められて散々よがり泣いてたクセに」
「な、何を……」
「覚えてないとは言わせないよ? 僕の使い魔で全身嬲られて、最後にはお尻の穴でイッちゃったのに」
「……な……」
顔から血の気が引いた。
「それとも、もっと味わってみる? そうしたら素直になれるかもね」
しゅるり、ともうすでに馴染になった音が少年の後ろから聞こえた。
「や……!!」
拒む間もなく、再び全身を半透明の液で覆った触手が襲う。今度は四つん這いにされ、腰を高く上げた状態で下半身を固定された。
神父服の裾を伝って、内部に入り込んできた触手が再度後ろの穴付近を嬲る。
「ん……!」
それだけで昨日の自分の痴態が思い出されて、顔が赤くなった。
悪魔はその表情を見て満足げに笑った。
「いじめられた方が、素直になれるんだ……イヤラシイね」
「ああ……!!」
再び触手が内部に潜り込んでくる。痛みよりもそこには明らかな快楽があって自分を戸惑わせた。
「……ずっとこの子入れといて上げようか。そうしたら、君、素直になるでしょう?」
耐えるために、瞳を硬く閉じて、まだ自由なままの腕で胸の十字架を掴んだ。
その様子を悪魔は見逃さなかった。
右手で顎をぐいと持ち上げられる。
「……まだ、神に縋るんだ。君のことを救いもしてくれない神に」
「くう……!」
「……なら、僕が君の神になってあげるよ。そして救ってあげる」
悪魔はそう言って唇を近づけてきたが、神父は首を背けてキスを拒んだ。
拒否されたことが不満だったのか、悪魔は冷たい視線になって神父を睨みつけた。
「……強情だね。でもいつまで君のその強がりが保つのか、楽しみだよ」
「んぁ……っ!!」
内部で跳ねて動き回る触手に耐えながら、神父は十字架を握り締めた。
祈るように。
――神様。
:*:・。,☆゚'・:*:・。,★,。・:*:・゚'☆,。・:*:
その時、教会の聖像が突然、まばゆい光を放った。
「……!?」
純白の光の波に、悪魔は目を細めた。
光の中から、厳かな声が響いた。
「……迷える子羊よ、あなたの声は確かに神に届きました」
抑揚のない喋り方に、神父は目を見張って光のほうを向いた。
目を凝らすと、おぼろげに光の中に人影が見えた。
大きな白い羽を持った人物だった。
「あなた、は……」
神父の問い掛けに、人影は微笑んだ。
「私は天使です。迷える子羊よ、あなたを悪魔の誘惑から助けに来ました」
やがて白い光が収まるにつれて、人影の様子も明らかになった。
「………………!!!!!!!!」
それに悪魔は声にならない悲鳴を立てて驚いた。
神父の顎を掴んでいた指を思わず離した。
現れた天使は白いゆったりとした服を着て、背中には白い羽を持っていた。
髪の色は黒。瞳の色は丸い色眼鏡でよく解らない。意味も無く白いヘアバンドを着けている。そして極め付けは天使にあるまじき無精髭。
「ああ……天使様……」
神父が感激した声を上げる。天使が再び神父に対して微笑むと、神父を拘束していた悪魔の使い魔は灰になって消えていった。持ち上げられていた神父の腰が床に落ちる。
縋りつくように神父は天使を見上げた。
焦っていたのは悪魔の方だった。天使から後退しながら情けない叫び声をあげた。
「ど、どどどどどーして、ここに!?」
「だから、悪魔に誘惑された可哀想な神父を助けて、悪魔を懲らしめに……」
「……ってまたそのパターンなんですか!? ……ワンパターンな!!」
「おやおや……悪魔が混乱して、よくわからない事を言い出しましたよ?」
「……あームカつくー!!!」
悪魔は地団駄を踏むが、取り合ってもらえなかった。
神父はただひたすら、陶酔した眼差しで天使を見上げている。
だが、その瞳の奥に、不意に、悲しみの影がさした。
「……神に仕える身でありながら悪魔なんかにこの身を辱められた私が、貴方にまみえるなど……許される訳がない……」
天使の姿を見ていられなくなって神父は頭を下げたが、天使はそんな神父の頭を優しく撫でた。
「私はずっと君を見守っていました。悪魔の誘惑に負けず信仰を貫いた貴方の気持ちは神にも届いてます……安心してください……」
「……ずっとデバガメしてたんですか貴方……」
悪魔の突っ込みは二人とも聞き流していた。
天使にそういわれ、腕を差し伸べられて、神父はその腕をすっと手に取った。
「ああ……天使様……」
神父に向かって一度微笑んだ後で、天使は不意に、悪魔の方に目をやった。
「……さて。悪魔はつまり堕天使。元を正せば全知全能なる神の作りしもの。僕が預かって改心させましょう……」
天使がそう言うと、悪魔の身体がどこからともなく湧き出た鎖で縛り上げられた。
身動き取れなくなった悪魔を天使は肩に担いだ。
「さすがです……あのような悪魔にも改心の機会を与えるなんて、さすが天使様……」
「……ってええっ!? うわっちょっとこんなオチ!?」
「さあ、僕と一緒に悔い改めるのです……!!!」
「く……ッ!!」
光の中に消えて行く天使と悪魔の姿を、神父は凝視していた。
こうして、その教会は天使降臨の地として一躍脚光を浴びる事になる。
そして、天使に連れて行かれた悪魔がその後どうなったかは、誰も知らない。
終。
……管理人はギャグ書きが一番向いてると思います。
とにかくオチが書きたかっただけという……だから途中深く突っ込まないで下さい……。
いや、触手プレイもかなり楽しかったですが。フィストも……
触手→ファンタジー→魔王様→じゃあ手塚は神父→てことは神が大和? みたいな感じで。
何処か間違ってるよ……ああ全部か……
塚(14歳)が酷い事されてると思うと筆が進まないんですが(読むのは好きです)
今回は……だって神父様だし(酷)。
きっと懺悔に来た人に「町内20周!」とか言って追い返すんだろうな……
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